--ことわざ研究奨励賞の受賞、おめでとうございます。
ありがとうございます。気が付けば、ことわざ研究を何年も続けていました。少しずつ積み重ねてきたことに対するご褒美として、大変ありがたく思っております。
--現在のお仕事は?
受賞したときは、母校の昭和女子大学国際学部英語コミュニケーション学科(昔は英米文学科でした)の助教でしたが、4月から専任講師になり、英語の授業やゼミなどを担当しています。
--お忙しい中で、ことわざ研究のモチベーションは?
外国語の辞典を見ていると、単語レベルからイディオムの説明になると大きなギャップを感じます。その意味の変化に学生の頃から関心があり、イディオム研究の延長線上にことわざがありました。そして英語、デンマーク語だけでなく、日本語のことわざにも必然的に目が向いてきたというところですね。
--近年は、西洋のことわざの日本語への受容から、逆に明治大正期の外交官大越成徳の英仏語による日本のことわざの紹介まで、幅広く実証的に研究されていますね。
当初は英語やデンマーク語でどのようにことわざが用いられているのか、西洋のことわざ自体に関心を寄せていました。対応する日本語のことわざには、同じ表現や同じ考え方が見られるもの、まったく共通しないもの、さまざまでした。そこに言語や宗教、文化的な背景を考察していました。そんな中、『故事俗信ことわざ大辞典』第2版の編纂に携わる機会があり、西洋起源のことわざがどのように日本文化に取り入れられていったのか等、通時的な視点に興味を持つようになったのです。そこから、大正・明治時代の文献を見直す、という作業にはまった次第です。
--前回のインタビューは10年前。『故事俗信ことわざ大辞典』第2版(小学館)が刊行された頃でしたね?
ええ、5年ほど大辞典の編纂スタッフとして参加し、西洋から日本語に入ったことわざを担当しました。大人になって日本語の辞書を丹念に読むのは初めてで、用例の原典を一つ一つ遡って確認する作業が印象的でした。
--すでに大阪外大でデンマーク語研究によって博士号を取得されたのに、その後、東京で再び大学院へ?
2013年に奥津文夫先生のご紹介で、もう一度英語を学ぼうと東洋大学大学院に行き、辞書学を専攻。コーパスの発達や音声分析の進化はめざましく、忙しいけれど有意義な2年間でした。修士論文はA Study of Proverbs in English-Japanese Dictionaries Published in the Last One Hundred Yearsをテーマに提出しました。
--デンマーク語関連では、最近どんな活動を?
近年、デンマークの首都コペンハーゲンはコスモポリタン化して、ヨーロッパの他の都市とあまり変わらなくなってきましたが、2018年夏から1年半滞在したときは、家族とともに少し郊外で暮らしてみました。デンマーク語関連の研究は、2019年に『IDUN-北欧研究-』に「外国語学習の「文化リテラシー」-日本人学習者に対するデンマーク語のことわざを一例に-」を書いています。
--ところで、研究は別として、趣味は?
以前は読書と答えていましたが、いまはなかなか時間がなくて……それでも、長期の休みには、研究とは別に小説などを手に取っています。また、昨年から犬を飼い始め、犬との散歩が楽しい気分転換になっています。
--振り返って、ことわざ研究にいま必要なものは?
昨年のフォーラムで日本語学の先生ともお話ししたのですが、ことわざが実際にどのように用いられているのか、そういったデータベースがあるといいですね。構築はそう簡単にはいかないでしょうが、皆さんと協力し、学会活動の視野に入れていきたいと思います。
--最後に、今後のご自身の研究について一言。
これまでは、ことわざの過去の変化を追究してきましたが、今後は現在の変化、そして未来の変化についても考えてみたいと思います。
プロフィール
すずき・まさこ
昭和女子大学国際学部専任講師。ことわざ学会理事。昭和女子大学卒業後、大阪外国語大学大学院で修士号・博士号取得(デンマーク語)。東洋大学大学院で修士号取得(辞書学)。著書・論文に『デンマーク語のしくみ』(白水社)、「外交官大越成徳が英仏語で紹介した日本のことわざ」(『ことわざ』9号)など。
※初出「たとえ艸」第94号(2022年4月26日)